500文字の心臓

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短さは蝶だ。短さは未来だ。

 納得できない 作者:sleepdog

 これで何枚目だろうか。とうとう見合い写真がロボットになった。
 熱いお茶をすすりながら、しばらく眺めていると、「テレビが見られるらしいわよ」と母は付け加えた。



頭蓋骨を捜せ 作者:JUNC

ぺりぺりぺりぺり。街のあちこちで音がする。
座り込んで、むく。お互いに、むく。よってたかって、むく。
町中、ヒラヒラと包帯が宙を舞う。
通称ミイラ街。
この街の決まりはただひとつ、体中に巻く包帯だけ。
何百年もこの街は代々こうして生きてきたのに、
月が2つになり朝が来なくなった今、
死人も生きてるこの街に世界中がキバをむく。
『呪いを解くには頭蓋骨を捜せ、捜しだせ』
ぺりぺりぺりぺり。はりついた包帯をむく。
生きてる者は涙を流し、互いに見つめ合い、抱き合う。
ころんころん、転がり落ちた、骨・骨・骨。
その上を魂がゆっくりとのぼっていく。
これで呪いは解けるのだろうか。
『まだまだ足りない。頭蓋骨を捜せ』
朝が来るまで、一人残らず。
ぺりぺりぺりぺり。街のあちこちで音がする。
ぺりぺりぺりぺり。はりついた包帯をむく。



スクリーン・ヒーロー 作者:koro

 正月限定販売の七色バスクリンは透明な湯を虹色に変えた。パッケージには『貴方の願い事が叶うかも』と記されている。
 私は、脱皮するように服を脱ぎ捨て体を湯に沈めた。
 そして、防水テレビを観賞。ハリウッドスターに夢中になりながらも、何の気なしにつぶやいた。
「スクリーンヒーローに会いたいな」
 すると七色の湯がボコボコと泡立ち始めた。それは、ジャグジーどころか噴火直前のマグマのようであった。
 と、突然そこから、ざぱぁーっと月光仮面のおじさんのような格好をした男が現れた。
 衣装は虹色でおでこと胸の辺りに片仮名で『バ』の字が書かれている。
 男は「いないいないばぁー」のポーズをとりながら
「やぁ。夢を叶えに来たよ」と満面の笑みを浮かべていた。
 私は、ぎゃぁっと鳥が首を絞められたかのような声をあげた。
 バの字は「君が願ったことなのに」と肩をおとした。
「誰よ、あんた?」
 冷静になって小さな胸を両手で隠しながら訊ねると
「バスクリンヒ……」
 男が言い終える前に、その続きがわかったので片手をあげてそれを素早く静止させた。
「違います!」
 バの字は寂しそうにまた、ボコボコ泡の中へと消えて行った。
小さな箱の中でジョニーデップが「オーマイゴーットゥ」と叫んでいた。