作品募集(2012年05月18日更新)
■ 第114回タイトル競作『鈴をつける』 →募集要項
集計結果(2012年05月11日更新)
作品発表(2012年04月28日更新)
お知らせ(2011年05月29日更新)
「500文字の心臓」の募金企画における寄付金6600円を、「国境なき医師団日本」宛に送金する手続きを完了致しました。
領収書は後日郵送されてくる予定です。到着しましたら当サイトで画像をアップします。
この度は当企画に多くの方のご協力を戴きまして誠にありがとうございます。
これからも「500文字の心臓」をよろしくお願い致します。
タイトル競作 正選王受賞作品
「ヒズミランド、ヒズミランド」
と、二歳になったばかりの息子が何度もそう口にする。ならば誰が何といおうとここは東京ヒズミランドだ。
「チューチュ、チューチュ」
うん、チューチュがテーテをふってるね。ワンワンもガーガもいるよ。
「ジージ、ジージ」
そうだね、チューチュの背中がジージってひらいたね。
「ウーカンカン、ウーカンカン」
ほんとだ、中からウーカンカンが出てきた。手にグシグシ持ってるよ。グシグシでみんなをコッコローンしてるよ。
「クデンシャ、クデンシャ」
うんうん、ガーガがクデンシャ吐き出したね。ワンワンもあんな楽しそうにみんなをポリンポリンして、とってもにぎやかだね。何、アッコするの? はい、これでよく見えるよ。あっちもこっちも、みんなもうすっかりババーパだらけだよ。
「バッコチャン、バッコチャン!」
わあすごい、ほんとにバッコチャンだ。おっきなクーチーだねえ。あ! ほらほら、バッコチャンこっち見てワラってるよ!
「コッチクル、コッチクル!」
コッチクル、コッチクル!
タイトル競作 逆選王受賞作品
鏡は監視カメラです。一日にニ回、とびきりの顔で笑いかけます。
ここは広くてあたたかい、緑と花で満たされたガラスのドームです。真ん中には小さな遊園地があり、大きな観覧車が静かにゆっくりと回り続けています。
緑に埋もれた家は潰れたケーキに似ています。三角で三段で白い。四歳からここにいます。
住人は子供ばかり。ニ割は自分を特別だと信じていて、三割は頑なになにかを信じ、一割は絶望しています。なにも信じていない残りの四割が、空白の住人と、本物の天才と、私たちです。
テレビもラジオも電話もないけれど、食べ物や着る物には困りません。管理人は見えないけれど、たぶんそこらにいるのでしょう。
誰かが歌い、踊り、叫び、ピアノを弾いています。小さなブロックを積み上げ、透明な境界を掻き続けています。
森は迷路に似ています。眠るのは好きではありません。
観覧車のてっぺんからは外が見えます。あおぞら。あかいつち。暗くなれば遠くに、こぼれ落ちた星のようなあかりが見えて、だからあそこには人がいます。





